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Excellence Award (Public & Frontier Robotics Category)優秀賞(公共・フロンティアロボット部門)

血管内手術の技術トレーニングのための超精密人体ロボット イブ

[ファイン・バイオメディカル有限会社 名古屋大学]

血管内手術の技術トレーニングのための超精密人体ロボット イブ

概要

名古屋大学福田研究室の技術を基に実用化した、血管内カテーテル手術(血管諸疾患に対する最先端医療)の技術トレーニングを目的とする世界初のテーラーメイド患者ロボット。体内には、CT/MRI像をもとに患者個人の血管が精密に再現(精度:0.01mm)され、疑似血液の循環による血管の脈動や医療器具の操作感覚をリアリティ高く再現されている。血管に加えられた応力等から手術の進行状況を分析し「アブナイ」などと声や映像で術者に状況をフィードバックする。動物実験に代替する、「身体再現性」と「機能性」に優れたシミュレーション環境を提供することから、2005年の万国博覧会(愛・地球博)への出展を機に、医師や医療機器メーカから高い評価を受け、医療技術の伝達、教育、評価のためのロボットとして現在広く活躍している。

評価のポイント

カテーテルを利用した血管内治療普及への期待

心筋梗塞や脳溢血に代表される血管疾患は、日本 人の3大疾患に含まれる、我々にとってとても身近 な病気です(最上位は悪性新生物(癌))。従来で は、このような血管疾患は、頭部や胸部を切開して 血管に直接触れることで治療されて来ましたが、最近では、カテーテルという細い管を大腿部や腕から 血管内に挿入して、レントゲンを見ながら操作する 治療法(血管内治療)によって、患者さんの負担が 大きく軽減されるようになっています。この新しい 治療法は、安全性に優れることもあって、ヨーロッ パやアメリカでは全治療件数の8割に適用される まで普及し、既に一般的な治療法となっています が、日本では1~2割程度しか行われていません。 現在、血管内治療の技術トレーニングは、豚やウサ ギによる動物実験や、簡単なプラスチック模型を利 用して行われていますが、動物愛護の問題や血管 の形態や物性が人体と異なることが問題となり、十 分な練習が行えないことが普及の妨げにもなっています。

カテーテルを利用した血管内治療普及への期待

人の血管構造を精密に再現した人体ロボット

超精密人体ロボット”イブ”は、このような状況を変 えることを願って、名古屋大学と医師とが共同で開 発した女性型の患者ロボットで、2005年の万国博 覧会(愛・地球博)を機に、その第1号が誕生しまし た。イブの体内には、病院で撮影された患者様の身 体画像(CT/MRI像)に基づいて、疾患を含む全身 の血管構造が百分の一ミリの精度で精密に再現さ れていて、血管内手術の全プロセスをトレーニング することができます。この血管は、形状だけでなく、 患者様個人の血管の柔らかさや滑り具合(縦弾性 係数や摩擦係数)を精密に再現し、血管の脈動や、 手術中の血管やカテーテルの挙動や、こうした医療 器具の操作感覚をとてもリアルに再現します。また イブには、手術中の状態を伝える音声機能や、患者さん個人の血液の流れを再現するテーラーメイド のポンプ機能や、状態を映像として出力するための 機能などが組み込まれています。 イブの体内に再現された血管は、実は、とても繊細 な触覚センサになっていて、例えば人が物を触れた ときのように、血管の中にカテーテルが挿入された 時の感触を常に感じていて、加えられた力に応じて 虹色に光ります。そしてコンピュータによって身体 全体の状態が常に監視されています。実際の患者 さんが手術中に血管の痛さを訴えることはありま せんが、イブは、こうした血管の触覚情報や圧力情 報に基づいて手術の様子を分析・記録し、「危ない」、 「痛い」などと声や映像によって、手術の状況を術 者に伝え、コミュニケーションを行いながら安全な 治療の仕方を教えます。これによって、これによっ て、初めて手術を体験する人から、熟練した医師ま で、様々な症例について医療技術を効果的にト レーニングすることができます。

多くの学会等で、医療トレーニングに採用

イブの体内には、動脈瘤や血管狭窄など多様な疾 患を数多く再現して、様々な病気のトレーニングを 行えるように血管を構成することや、特定の患者さ んの疾患を精密に再現して手術のリハーサルに利 用することもでき、2005年の誕生から2年が経過 した今では、医師からとても高い評価を得て、脳血 管内治療学会や脳神経外科総会などの医療系の 学会に招待されていろいろなところで医療技術の トレーニングに利用されています。また医療機器 メーカでも、製品の品質の高さをアピールしたり、 新開発の医療機器の使用法を医師に伝えたりする ために利用されています。 イブは、世界で初めてのテーラーメイド型の患者ロ ボットとして、医療技術の教育や評価など、様々な 目的で利用されながら、今後広く普及してゆくもの と思います。

多くの学会等で、医療トレーニングに採用

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