無人ロボットコンバイン
[株式会社クボタ]
概要
稲や麦の収穫作業を自動で行う業界初の無人ロボットコンバイン。2024年1月に販売を開始し、有人監視下での無人走行に分類される。先進技術と制御技術を駆使し、圃場形状マップの自動作成や走行ルート設定、タンク満杯時に排出位置への自動移動などの機能を備える。また、農業の担い手の高齢化や人手不足に対応し、効率的な農作業を可能にすることで、農業経営の基盤強化と食料安全保障への貢献が期待できる。
評価のポイント
これまで技術的難度が高いとされてきたロボットコンバインの無人化を実現した。コンバインは、特に安全性の確保に課題があり、有人監視下での無人走行は困難であったが、AIによる人の検出技術等、先端技術と制御技術により、これらの課題を克服し、業界で初めて量産に成功した。また、人が行っている作業方法を制御技術によって再現し、熟練オペレータ同等の高い作業能率を実現している。さらに、水田の主要3機種(トラクタ、田植機、コンバイン)の無人ロボットが出揃ったことで、無人ロボット農機による一貫作業体系が可能となり、農業がより効率的で持続可能になることが期待される。
稲や麦の収穫作業を行う業界初の無人ロボットコンバイン
背景と概要
日本農業は農業就業人口の減少や高齢化に直面する一方で、担い 手農家の経営規模は拡大しています。限られた人員による効率的な 農業へのニーズの高まりから、政府はロボット、AI、ICTなどの先端技 術を活用した「スマート農業」の社会実装を推進しています。そのよう な状況下で、主たる農業機械のうち、トラクタと田植機は、使用者が 搭乗せずに目視できる場所からの監視による自動運転を実現し、販 売を開始していましたが、コンバインでは安全性の確保や作業の難 易度、作業継続性などに課題があり、販売に至っていませんでした。 無人ロボットコンバインはこれら課題を先進技術と制御技術によって 克服し、業界で初めて販売を開始することができました。
無人ロボットコンバインの特徴
①収穫作業に適応した周囲監視用センサーシステム
周囲監視用センサーシステムには、圃場内に作物が存在する状況 で人や車両などの障害物を検出することが求められる一方で、作 物や雑草、圃場に入ってくる鳥などには反応しない性能が求められ ます。これらを実現するために、人の検出は機体に搭載したカメラ を使用し、AIによる画像認識を行います。収穫作業環境下で人が 写った画像データを学習させることで、人のみを検出することが可 能となりました。一方、車両はミリ波レーダが照射した電波の反射 波によって検出します。車両などの金属体は作物や雑草よりも反 射波が強いため、反射波の判定閾値を高く設定することで、作物や 雑草に反応することなく車両を検出することができます。
②圃場の約9割を無人自動運転で収穫作業
無人自動運転で収穫作業をするため、3つの技術を開発しまし た。まず、圃場の畦や作物の高さに応じた効率的な動作と収穫物 の損失を抑える技術です。機体に搭載した2D-LiDARで畦や作 物の高さを検出し、畦の高さが低い場合は機体の一部を畦上ま で飛び出す効率的な旋回動作を行います。また、圃場内の作物高さは均一ではないため、作物の高さに応じて刈取部の位置や 車速を調整することで収穫物の損失を抑えています。次に、圃場 角部の刈取り技術です。手動で圃場の最外周を刈取りした後の 圃場角部の作物領域は多様な形状となっています。この多様な 形状に対応した自動運転経路の生成と刈取り動作を可能にしま した。最後に、刈取部詰まり解除の自動化技術です。収穫中、刈取 部の詰まりを刈取り回転センサーで検出すると収穫作業を一時 停止し、刈取部を逆回転させて詰まりを自動で解除した後に収穫 作業を再開します。これらの技術により、圃場最外周の作物を手 動で収穫した後、圃場の約9割を無人自動運転で収穫することが可能となりました。
実績と今後の展望
無人ロボットコンバインによって、人が搭乗することなく稲や麦の 収穫作業が可能となり、担い手農家が抱えている人手不足や作業効 率の改善といった経営課題の解決に寄与することができました。今後 もロボット技術の更なる発展とスマート農業の普及を加速させ、農業 に貢献していきます。
無人ロボットコンバインが稲を収穫する様子