排泄支援ロボット「ベッドサイド水洗トイレ」
[TOTO株式会社/関東学院大学 建築・環境学部 大塚雅之研究室]
概要
評価のポイント
要介護者の自立を促進し、介護負担を軽減する『ベッドサイド水洗トイレ』
高齢化の状況と課題
日本では急激な高齢化が進行中で、2055年には高齢化率は 40%を超えると予想されています。また、要介護者は既に500万 人の大台を超えています。在宅で介護されている方の多くは要介 護度3以下です。これらの方々のほとんどに便意はありますが、身 体能力の低下により、トイレが遠くて間に合わない、段差等で転倒 のリスクがある、あるいは、トイレブースが狭く介助ができない、排 泄回数が多く時間が長くて他の家族がトイレを使用できない、な どの理由により、寝室にポータブルトイレを設置するケースが多く あります。設置の手軽さからポータブルトイレは年間20万台以上 が販売されていますが、バケツにたまった汚物の定期的な処理が介護の負担となり、また、汚物の臭気が常に室内に充満するという 課題があります。
在宅介護で苦労したこと ※内閣府政府広報室「介護ロボットに関する特別世論調査」 (2013年8月)
ベッドサイド水洗トイレとは
ベッドサイド水洗トイレは、汚物を粉砕・圧送することで従来より も細い排水管で排水する排泄介護ロボットです。室内設置の給水 管と排水管がやわらかく、本体が床に固定されていないため、施工 後の位置変更が可能です。この特長は、退院前にトイレの設置を完 了し、退院後に使用者のベストポジションにセットしたり、身体能力 の変化に合わせて位置変更をしたりするシーンで有効であること が確認されています。 脱臭機能を搭載しているので壁や扉、換気扇や照明が不要で、エ アコンと同様の工事内容で設置可能なため、およそ1日で施工が 完了します。粉砕された汚水はポンプによって排水されるため、従 来トイレの増設をあきらめていた水まわりから遠い場所や戸建住 宅の2階にもおよそ1日の工事期間で設置が可能です。 なお、ベッドサイド水洗ト イレは、従来の大便器とは 異なる特徴を有していま すが、ベターリビング基準 「圧送便器」の各規定に適 合することで、器具として の品質を確保しています。
(2013年8月) ベッドサイド水洗トイレの構造
ベッドサイド水洗トイレのロボット技術
ベッドサイド水洗トイレは、次のロボット技術により実現された 商品です。
1. 運転制御
粉砕と圧送に最適で、かつ、ベッドサイド水洗トイレが接続され る建物に対する影響が少ない運転制御を搭載しました。
2. 異物の検知と報知
介護シーンでは、便器にウェットティッシュなどの異物が投入さ れるケースが多くあります。これらの異物が投入されても「粉砕 部をロックさせない継続運転」を可能にしました。また、モータ特 性の変化より異物の蓄積量を推算し、注意が必要になった段階で 音声ガイドにより異物除去の必要性をお知らせします。異物除去 作業の安全性確保のため、インターロックと音声ガイドを採用しています。
3. 水位のモニタリング
2種類の水位センサにより運転中ならびに待機中の粉砕圧送 ユニット内の水位をモニタリングすることで、不測の事態による便器からの溢水トラブルを回避しています。
4. 臭気対策
使用時の便器内の臭気を自動的に吸引して脱臭触媒により分 解・無臭化します。また、便器洗浄時に粉砕圧送部から追い出され る臭気成分を含む空気をエアバッグに一時的に回収し、漏気を防 いでいます。
導入現場事例① 在宅介護の事例
●導入理由(60代男性)
「転倒して91歳の義母が車いす生活になった。」
「ポータブルトイレを頑として使ってくれない。」
○使用後のコメント〈2ヶ月使用後〉
使用者(90代女性)
「家族への気兼ねがいらなくなった。」
「以前はトイレの回数を減らすために、食事と水分を控えていたが、 元に戻すことができた。」
「紙オムツを下着に戻すことができた。」
在宅介護現場での設置事例
導入現場事例② 特別養護老人ホーム「ここのか」[兵庫県豊岡市]
●導入理由
「ほとんど利用されない個室トイレをなくしたい。」
「必要なときにだけ、ベストポジションに水洗トイレを設置したい。」
○導入効果
・ねらい通り、個室のトイレ設置数を最小限にできた。
注) 1ユニットあたり3台
・個室にトイレが必要な入居者全員がベッドサイド水洗トイレを使用 している (30名中6名)。 ・排泄処理に関わるスタッフの負担が軽減した。