完全自動飛行のドローンによる「空からの精密農業」
[株式会社ナイルワークス]
概要
農業用ドローンおよび生育診断クラウドサービスを稲作農家向けに提供する農業ビジネスで、ドローンを作物上空30~50cmの至近距離を飛行させることにより、薬剤の飛散量を大幅に抑えるだけでなく、作物の生育状態を1株ごとにリアルタイムで診断し、その診断結果に基づいて最適量の肥料・農薬を1株単位の精度で散布する新しい精密農業の実現に取り組む。
評価のポイント
自動運転や自動散布、生育自動診断といった技術がドローンを活用したサービスとして実装されており、低空飛行ドローンによる新たな精密農業に取り組んでいるという先進性および独自性を高く評価。開発に当たっては農園と一体となって現場の課題を解決しながら進めており、米以外の農作物への応用の可能性があるなど、スマート農業の推進という観点からも今後が期待される。
作物上空30~50cmから薬剤散布と生育診断を自動実行
新しい農業スタイル ~自動で薬剤散布と生育診断~
「空からの精密農業」をビジョンに掲げ、農業用ドローンおよび生 育診断クラウドサービスを稲作農家向けに提供する農業ビジネス の事業化を推進しています。世界初のセンチメートル精度でドロー ンを完全自動飛行する技術開発に成功しました。この技術を搭載し たドローンを作物上空30~50cmの至近距離で飛行させることに より、薬剤の飛散量を抑えます。また、作物の生育状態を1株ごとに リアルタイムで診断し、その診断結果に基づいて最適量の肥料・農 薬を1株単位の精度で散布する新しい精密農業の実現に取り組ん でいます。保有する技術は、【①完全自動運転技術】【②高精度自動 散布技術】【③生育自動診断技術】です。機体設計・製造および機体 制御のためのフライトコントローラ、機体専用バッテリ、生育調査用 専用カメラ、画像解析による生育診断を開発しています。
①完全自動運転技術 ~特別なスキルは不要~
12種類のセンサーから算出される位置情報と方位情報を補完 的に融合させるセンサーフュージョン技術により、圃場上空で±2 cmの水平位置精度と±5cmの高度精度の自動飛行を実現しまし た。RTK-GNSSコンパスで、揚水ポンプや暗渠の鉄鞘管などによ り地磁気が歪んでいる圃場でも安定飛行が可能です。また、離着 陸時以外は圃場の外に出られない「圃場フェンス」機能を実現しま した。これにより、特別なスキルは不要で、散布が可能です。事前に圃場を測り、タブレットに登録するだけで、飛行経路が自動生成され、散布時は操作タブレットの「開始ボタン」を押すだけで、離陸・ 散布・着陸までを自動で行います。
2018年の実証実験
②高精度自動散布技術 ~均質に散布~
飛行速度にあわせ、農薬や肥料の吐出量も自動調節します。上下 逆回転のプロペラ(二重反転ロータ)が作る真っ直ぐな強い気流を コントロールして、最も効果的に作用する稲体部位に薬剤を付着さ せます。さらに、低空飛行により、農薬のドリフト率を大幅に改善し、 隣接圃場に農薬が飛散しないよう工夫しています。ドリフト率1%以 下を目標にしています。(ドリフト率:圃場の指定散布密度に対する、 圃場から一定距離離れた地点の落下密度の割合。)
③生育自動診断技術 ~リアルタイムで圃場データ取得~
ドローンに搭載した生育調査用カメラで、画像解析を実行します。 稲体の各部位(葉身、葉鞘、茎、穂、籾)の赤色光と近赤外の反射率 から、各部位ごとの光合成速度を推測し、窒素吸収量を推定する技 術を保有しています。これらを応用し、一株単位での収量予測の実 用化に向け、準備中です。さらに、病気の初発や雑草を検出し、精度 の高い可変量施肥、除草剤や殺菌剤のピンポイント散布の実用化 を目指しています。
2018年の実証実験 一株単位での収量予測