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Minister of Economy, Trade and Industry Award第4回ロボット大賞(経済産業大臣賞) 産業用ロボット部門

安全・快適に人と協働できる低出力80W駆動の省エネロボット

[トヨタ自動車株式会社 株式会社オチアイネクサス 名古屋工業大学 首都大学東京]

安全・快適に人と協働できる低出力80W駆動の省エネロボット

概要

自動車の組立工場においてスペアタイヤを自動車のトランクに搭載するロボット。低出力のモータを用いることにより、人と協働して安全に作業が可能。既にトヨタ自動車の組立工場にて実用化されている。

評価のポイント

産業用ロボットは通常、モータの出力が高く、安全のため人と隔離して動かすことが必要である。このロボットは低出力のモータとばねのしくみを利用することで、人との協働作業を実現した。工場におけるロボット活用の新たな可能性を示したことが、「第4回 ロボット大賞」にふさわしいと高く評価された。

安全・快適に人と協働できる省エネロボット

本質安全と省エネ ー低出力ハイブリット駆動技術ー

従来のロボットでは、モータ推力の70〜90%はロボットの自重を支えるのに使われていて、運べる対象物の重量はモータ推力の10〜30%しかなく、モータ推力がムダになっていました。 このため、可搬重量20kgを超えるロボットは1500Wといったキロワットクラスのモータを用いていました。そのため、モータ出力が高いため、人と隔離する安全柵を必要とし、広大なスペースを占有していました。 そこで、本質安全化のために、本質安全の動力源の基準とされる定格出力80W以下の低出力モータを用いながら、可搬重量25kgを狙いました。 その解決方法として、ロボットの自重をロボットの姿勢にかかわらず常に一定にバランスさせるバネを用いた一定自重補償機構と、80Wモータを組み合わせる低出力ハイブリッド駆動機構を開発しました。 従来の一定自重補償機構は複雑で、ロボット自重130kgといった大荷重に適用する上では耐久性や応答性の面で課題がありました。これを平行リンク機構と組み合わせ、軸構成を工夫することでシンプル化を図り、トヨタ自動車の高岡工場での110mm/秒というラインスピードに対応できる速度と耐久性を確保しています。また、この機構により、直動機構に比べ上下方向をコンパクトにすることができ、上部空間が狭い既存の工場にも設置できるようになり、汎用性が高まりました。 この結果、低出力モータ化を実現でき、従来比20分の1の省エネも達成しています。

本質安全と省エネ ー低出力ハイブリット駆動技術ー

低コスト安全制御 ーカセンサレス速軌御御ー

従来の安全制御で用いているレーザセンサや力覚センサ、接触センサ、バンパスイッチは、高コストで死角があり、死角をなくすには多数のセンサが必要となります。また、従来の力覚センサを用いた柔軟制御では、衝突した際の指令位置と実測位置の偏差が大きいと過大な力を発生させる恐れがありました。 そこで、駆動モータの電流と各駆動軸の速度センサから、ロボットの動力学モデルを用いて外力を推定し、仮想ベルトコンベアの特性に従ったモータ制御をすることで、ロボットのどこがぶつかっても衝突を検知し、偏差によらず一定の柔軟性を持たせることができました。 これにより、ロボットと人がぶつかった場合でも、人との接触力を70N以下に抑えてロボットを停止させることができるようになり、人が協働作業する時の安全性を向上させ、人にとっても安心感を高めることができました。

低コスト安全制御 ーカセンサレス速軌御御ー

生産ラインへの導入

2010年1月よりトヨタ自動車 高岡工場のカローラ組立ラインに、このスペアタイヤ自動搭載ロボットを導入しました。隔離するための安全柵を設置せず、人と協働するエリアで運用されています。これまでに、トラブルや事故は無く、2010年9月で累計10万台の車両のスペアタイヤを搭載しました。

導入したスペアタイヤ自動搭載ロボット(トヨタ自動車 富岡工場)

導入したスペアタイヤ自動搭載ロボット(トヨタ自動車 富岡工場)

今後の展開

他に実例の無い人とロボットの協働化を、低出力駆動化および柔軟制御化によって実現し、実際の生産ラインに導入することができました。 この技術は、少子高齢化を迎える中、生産ラインへのロボットの適用領域の拡大に大きく貢献可能であり、女性や高齢者でも安心・快適に働ける生産環境を作り出すことが期待できます。 また、産業用だけではなく、サービスロボットにこの技術を展開することで、最大の課題である安全性の向上と省エネによる稼働時間の延長とバッテリーの小型化が図れ、様々なサービスロボットの実用化の加速が期待できます。

サービスロボットへの応用展開

サービスロボットへの応用展開

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