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Excellence Award (Service Robot Category)優秀賞(サービスロボット部門)

ジョイスティック式自動車運転システム

[国立大学法人 東京農工大学 株式会社ニッシン自動車工業]

ジョイスティック式自動車運転システム

概要

自動車のハンドル、アクセル・ブレーキペダルをジョイスティックにより操作する福祉用ロボットシステム。従来の製品に比べ、幅広い障がい者の方が、様々な車種において使用できる。

評価のポイント

重度障害者の自動車運転を可能にする装置

重度障害者の自動車運転を可能にする装置

車いすを使用する重度の障害者を対象とした、自身による自動車運転を可能にする運転支援システムを開発しました。ジョイスティックを操作することで、自動車のハンドル、およびアクセル・ブレーキペダルを電気モータで作動させ、自動車を運転することができます。よって足のみでなく上半身にも障害を持つ方でも軽い力および小さいストロークで操作が可能となります。さらに車両後部には電動ハッチとリフトを備え、車いすのまま運転席に移動することができ、車いすを運転席部分に固定する機構により、車いすのまま運転ができるので移乗が不要となっています。海外にもジョイスティック式の運転装置はありますが、日本国内にてこれらのシステムを利用するためには経済的負担が多大であり、かつメンテナンスやアフターケアなどが不十分であるなどの問題もあります。これらの問題を解決するため、国内にて製造・販売が可能で、全電気電子式であるジョイスティック式自動車運転装置の開発を行いました。開発した装置は、新規購入の車両に後付けで設置できること、さらに様々なAT車に適用可能であることなどを視野にいれた設計がなされています。

車両に搭載した様子(2本ジョイスティックタイプ)

車両に搭載した様子(2本ジョイスティックタイプ)

柔軟な組み合わせが可能な装置構成

開発した装置はステアリングホイールの駆動制御、およびペダルの駆動制御を行う2つのサブシステムから構成されます。それぞれの駆動制御は、運転者が操作するジョイスティックなどの入力装置に従い実行されます。ジョイスティックは2自由度のもの1本、あるいは1自由度のもの2本、さらには他の入力デバイスなどにも対応が可能です。運転者の障害の度合いに応じて、どちらか一方、あるいは両方の駆動システムを装着するなど選択することができ、さらに従来の機械式の運転装置(手動装置)やハンドル、ペダルをそのまま使用する運転方法との組み合わせも可能になっています。各々の駆動システムは機構的あるいは制御的に極めて類似した構成になっており、電気モータ、制御装置を始め、多くの部品の共通化を図っています。

柔軟な組み合わせが可能な装置構成

安定した走行制御のためのハンドル操作感度/装置の正常な動作を保証する異常検出システム

ジョイスティックによるステアリング操作の感度は折線関数を用いています。前輪の角度が直進に近い領域においては微妙なハンドル操作が可能なように感度を低下させています。一方、駐車の際のすえきり時には早く領域の端までハンドルが切れるよう両端付近の感度を上げ、操舵輪の全動作領域が無駄なく利用できるように設定を行っています。感度の折り返し点、および中央の直線の傾斜はユーザの運転レベルに応じてソフトウェアで調整が可能です。

車両、および運転者の安全な運転を確保するために、装置の異常を検出するプログラムを搭載しています。主要なものは以下になります。 ①断線検出:装置の正常な稼働に必要なモータ・センサ類の配線が断線していないかを常時監視しています。 ②温度異常:電子部品の温度が上昇した場合に、モータへの電流を抑制します。 ③通信異常:2つの制御装置間では通信により情報交換を行っており、その通信が途切れた場合、一方の制御装置が異常であると判断します。

ハンドルの感度調節の例

ハンドルの感度調節の例

その他の装備/福祉車両のオーダーメード

車両にはそのほか、単身で自動車を運転して移動するための各種装備を搭載することが可能となっています。 ①電動ハッチ:手元のリモコンで開閉動作を行うことができる電動ハッチです。 ②車いす用リフト:ハッチ同様、リモコンで操作可能なリフトで、車両後方に搭載します。これにより車いすのまま車内へ乗り込むことができます。 ③車いす固定装置:電動車いすを運転席部分に固定する装置で、車両床面に備えられた固定装置で車いすのフレームをしっかり把持します。 ④各種スイッチの移設:ジョイスティックによる運転を可能とするために、ウインカー、ライト、ホーンなどのスイッチをジョイスティック付近に移設し、指で操作できるようにします。 ⑤電動サイドブレーキ:作動に力が必要となるサイドブレーキですが、スイッチのオンオフにより動作する電動装置の設置により簡単に操作できるようにします。

障害の部位、度合は人により様々です。また、運転したい自動車の種類も様々です。このような多様なニーズに対応するために、開発したシステムはハード的あるいはソフト的に柔軟な設計がなされています。 さらに入力装置の種類、その取り付け場所、あるいは操作力や動作領域などに関してユーザーの意見を最大限取り入れ、身体的条件を加味しながら、1台1台、一人一人について検討してゆきます。まさに福祉車両のオーダーメードのシステムです。

ユーザによる試乗、ヒアリングの例

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