狭小空間点検ロボット「moogle」
[大和ハウス工業株式会社]
概要
評価のポイント
狭小空間点検ロボット「moogle」
はじめに/戸建住宅の床下点検
“狭小空間点検ロボット「moogle」”は、2006年に“床下点検ロ ボット”として開発を開始しました。 2006年度、経済産業省の公募事業「サービスロボット市場創出 支援事業」に採択され、2006、2007年度の2年間、経済産業省 からの補助を受け開発を進めました。
一般的に、住宅の床下点検では点検作業員が床下に入り、ほふく 前進をしながら点検作業を行っています。床下空間は狭く、暗く、粉 塵が多い劣悪な環境であり、その中での点検は精神的、肉体的負 担が伴う作業になります。また、住宅に住まわれている方にとって 床下は普段目にすることがない場所であり、“見えない”点検作業に 対して不安を感じる人もいます。このような背景から点検作業員の 負荷軽減、住宅居住者への安心感の提供を目的とし、“床下点検ロ ボット”の開発を開始しました。
床下点検作業
床下点検ロボット
床下点検ロボットは、ロボット本体(moogle)と操作パソコン、 コントローラから構成されます。操作者はmoogleから送られてくるカメラ映像をパソコン画面 で見ながら遠隔操作で点検を行います。moogleは2つのカメラ を搭載しており、2つの画面を切り替えながら、床下内を走行、点 検します。
システム構成
特徴
床下の中は配管類や段差など、moogleが走行する上で障害と なるものが多くあります。moogleは自動的に姿勢を制御すること でこのような障害物を段差150mmまで簡単に乗り越えることが できます。また、床下の点検では基礎コンクリートに発生したひび割れ幅の 点検を行っています。点検の基準となる0.3mm、0.5mm幅のク ラックスケールをパソコン画面上に表示し、ひび割れ幅を比較しま す。このクラックスケールはmoogleのカメラの倍率と基礎までの 距離(距離センサにより測定)から、ズームをかければスケール幅 も大きくなるというように、映像に合わせて自動的に表示幅を調整しています。
導入・運用/狭小空間点検ロボット/おわりに
2009年より約1年半運用検証を実施し、走行環境や点検内容、 点検時間等の評価、および改善・改良を重ねました。そして2011 年4月より当社グループ会社、ダイワハウス・リニュー(株)(現大和 ハウスリフォーム(株))に50台導入し、社内運用を開始しました。 開発当初の目的であった点検作業員の負荷軽減、住宅居住者へ の安心感の提供についてアンケート調査を行った結果、どちらもほ ぼ100%の方が負担軽減されている、安心感が得られると答えて います。また、リフォーム受注率の増加という点でも効果がみられ ます。
社内運用での使い勝手や要望を反映した改良を行い、2012年 10月より、“狭小空間点検ロボット(※“床下点検”から“狭小空間”に 変更)”として外販を開始しました。外販を開始してからリフォーム 会社や工務店などに販売し、現在約150台が全国で利用されてい ます。(2014年9月末現在) 床下点検以外の利用として、インフラ点検、原子力関係建物調査、 警備関連、保険などの会社から問合せを受けており、検討を進めて います。 運用される企業によって、点検したい内容や走行環境も異なる ため、お客様の要望にあわせた改良を行い、利用用途を広げてい きたいと考えています。
建築分野では現在若年層が減り、高齢化が進行しています。いわ ゆる3Kと呼ばれる“きつい、危険、汚い”作業が多いことも若年層が 減っている原因のひとつだと考えられます。また、建築分野では作 業がシステム化されていないものが多いため、人手による作業が 多く、ロボットや自動化といった面では他分野に比べて遅れをとっ ています。 moogleはそんな建築分野で、先進的なイメージをつけることが でき、また、実際に作業負担の軽減が評価されていることから、 この分野でのロボット化を進めるきっかけになると思っています。 今後もこのような開発を続けていきたいと思っています。