消防用偵察ロボットFRIGO-M(フライゴー・エム)
[三菱電機特機システム株式会社/ 総務省消防庁消防大学校消防研究センター]
概要
有毒ガスや放射線などが漏洩する災害現場において、 消防隊員に先行して現場に進入し、消防隊員の進入が可能か、進入するためにはどのような装備が必要かなどの情報収集を行うロボット。強力な防じん、防水などの耐環境性能を有し、人が行うには困難な環境下での作業に広く応用が可能。
評価のポイント
災害現場で活躍するタフな情報収集ロボット
FRIGO−Mの基本的特徴
遠隔操縦により人に代わって情報収集を行う機材で、消防隊員を支援するロボット機材です。NBCテロなどによる災害発生時の初動強化と消防隊員の安全確保を第一の目的とし、現場周辺状況の映像による把握に加え、散布された毒劇物、漏洩したガス等を専用の検知器で検知を行い離れた場所へその状態を伝送することができます。現場隊員は、扱い容易で現場で使える耐久性に優れたツールを求めており、FRIGO−Mはこれらニーズに応えています。
①片手に本体、片手に操縦装置を持ち、一人で搬送展開可能な小型軽量システムを実現
→重量:約20kg
→形状:約440×460×740mm(W×H×D)
②簡単な操作、単純な機構で最大の能力を発揮
→シンプルな機能の本体と、使いやすいユーザインタフェースを持つ操縦装置の組合せにより少ないトレーニングで運用が可能です。機材の起動時間を1分程度に抑え、すばやい展開も可能としています。
→特別なクローラ走行方式の開発により、悪路での走破性確保と、高積載能力の長所を兼ね備えた上に、狭隘場所での機動性に優れる小型形状ながら、階段昇降も可能なボディデザインを実現しています。
→単純な構造によりメンテナンス部品が少なく、さらに駆動電源は繰り返し使える充電電池を使用し、維持コストなど経済性にも配慮しています。連続稼動時間は1.5時間以上であり、消防活動単位と合わせた稼動時間としています。
③単純なシステムから順次、能力の拡大が可能
→本体は移動ユニット/検知器ユニットの2つのユニット部で構成され、検知器ユニットは災害・事故に応じて現場で取替えが可能な機構となっています。
→基本検知器は、燃焼ガス検知器、ガンマ線検知器、化学剤検知器で、検知器の表示データをカメラで撮影し伝送します。外部インタフェースのない検知器であっても使用可能で、各消防の所有するハンディ検知器が使えるよう汎用性に配慮しています。
→検知器ユニットは、さらに高度な検知ユニットを構築することも可能であり順次能力拡大が可能となっており、各種現場への対応に配慮しています。
災害現場への適用を可能とした耐環境性能
消防の現場では、必要な時に安心・信頼して使える機材であることが必要であり、実用化普及のために必要な耐環境性能を実現しています。
→防水・防塵性:JIS C0920 IP67
・防塵性 内部への粉塵の侵入が全く無い
・防水性 水深1mの水中に30分間浸していても機能に障害が発生しない
→耐衝撃性:NDS C0110E Class A
1m落下衝撃にて機能に障害が発生しない
→非着火性:自主基準試験にて確認
水素ガス中での連続動作において着火源にならないことを実証
活用が期待される現場や事案/3K分野等での応用拡大を目指して
前記の特徴を有するFRIGO−Mは、災害初期において先行的に用いる補助資機材として下記のような活用が期待されています。
・機動性を生かした災害初期の偵察・検知活動
・化学剤等の散布が疑われる現場での検知活動
・活動区域(ゾーニング)を設定するための検知活動
・低酸素状態の現場における偵察・検知活動
・消防隊員の進入困難な現場での偵察・検知活動
・要救助者等の状況確認
FRIGO−Mは、消防隊員のリスク軽減を果たしながら情報収集支援を実施するに限らず、ストレッチャー牽引/マニピュレータなど各種作業オプションの搭載や、自律航法機能の搭載などにより、作業支援ロボットとして、人命救助への応用的適用など幅広い活用が期待されます。
・突入隊員への自動追尾走行
・要救助者の自動搬送
・除染作業支援
・消火剤散布による消火活動補助
・爆発物処理対処
3K分野等での応用拡大を目指して
FRIGO−Mシリーズは、「助ける人にも安全を」というテーマのもとに実用化され、消防隊員の安全化を図るとともに、最終的には市民の安全確保につなげるべく、消防現場での必携ツールとしての普及発展を目指し進化を続けています。 また、FRIGO−Mの実用化により得た技術は、多方面での製品実用化に応用拡大が期待されます。特に耐環境性能に関する技術は、人が行うには劣悪・過酷な環境下での作業機械化への応用が期待され、各種管路内やプラント設備等の点検、床下点検など建物内狭隘空間検査点検などへの適用を広く推進しています。