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Next Generation Industry Special Award次世代産業特別賞 産業用ロボット部門

フレキシブルな自動組立ラインを実現するヒト型ロボット「NEXTAGE」

[グローリー株式会社 川田工業株式会社]

フレキシブルな自動組立ラインを実現するヒト型ロボット「NEXTAGE」

概要

可動式頭部カメラ及び双腕を備えた、人間と同程度の大きさのヒト型産業用ロボット。手作業の高い柔軟性を再現するため、道具や装置を利用して、多種の作業や製造方法の変更に対応できる。ケーブルやゴムバンド等の柔軟物を扱う貨幣処理機組立工程に活用されている。

評価のポイント

器用に動く双腕等によって、人間が行う作業をそのまま置換するという、従来の産業用ロボットとは異なる発想で自動化を達成。次世代の生産ラインの構築が期待される点が評価された。

「NEXTAGE」の柔軟性を活用した、次世代生産方式 (GLORY Smart Automation Facility System)を目指して

NEXTAGEの基本仕様

NEXTAGEは、川田工業が人と共存・協業して働くヒト型ロボット の開発を目指すなかで開発された、産業向けの上半身型ヒューマ ノイドです。  軸構成は、片腕6軸の双腕、頭部カメラのためのヨー・ピッチの首 2軸、胴体腰ヨー1軸の計15軸から成ります。 腕の6軸は、肩にヨー・ピッチの2軸、肘にピッチ1軸、手首にヨ ー・ピッチ・ロール3軸を配しています。肩ヨーからはじまる軸構成 は、ロボット前方の平面作業に適しています。人は肩ロール軸を使 うことが多いのですが、人と共存するための安全性を考慮して肩 ロール軸は採用しておりません。これはすぐ横に人がいる場合な どに肘が当たる危険を避けたためです。腰ヨーや肩ヨーの動きで は肘はあがることはなく腕側面の動きとなり、安全性が高くなり ます。手先3軸は直交3軸を採用しておりません。人の手の掌が手 先の方向に対して直角であり、人の動きに習うためにこの構成と なっています。  台座部を除くロボット本体の寸法は 高さ730mm・肩幅576 mm・奥行き250mmであり成人男性を意識した寸法になっていま す。ロボット本体の質量は29kgです。  作業する可搬質量は片腕1.5kg、両腕で3kgです。安全性と作業性を考慮し、各軸を構成しているアクチュエータの出力は80W 以下となっています。  エンドエフェクタ(ハンド)は作業内容に合わせたカスタム仕様と なります。手首にはエンドエフェクタ用に空圧4系統と10ピンの信 号ケーブル、及びUSB1系統が実装されています。USBは主とし てハンドカメラ用に用います。従来人が100%組み立てていた組立工程を、NEXTAGEを活 用した新しい自動組立ラインとして新しく構築するうえで、キーと なったのはNEXTAGEの「柔軟性」です。

図:NEXTAGEの構成図

図:NEXTAGEの構成図

NEXTAGEの柔軟性1 : 省スペース

NEXTAGEは、各腕6自由度の双腕と腰の回転軸により、省スペ ースながら人に近い作業範囲を持っています。ロボット制御用のコ ントローラや画像認識用のビジョンPCも本体の台座部分にコンパ クトに収納されており、作業機能全体の占有スペースは人一人分 程度で納まっています。また、各軸が80W以下のアクチュエータで 構成されていることから、労働安全衛生規則上、安全柵無しでのレ イアウトが可能になっています。

図:NEXTAGEの動作範囲

NEXTAGEの柔軟性2 : 簡便設置

NEXTAGEは、頭部のステレオビジョンを用いて、作業台やツー ルなどに「クロスマーク」と呼ばれるシールを貼ることで周囲の環 境を把握することにより、正確に配置しなくても、高精度の作業を 実現します。3個以上のクロスマークを1セットとすることでロボッ ト本体から見た相対的な3次元位置を認識する機能により、ロボッ トや作業台上のツールや治具などを厳重に固定しなくても作業を させることができます。 NEXTAGEは、台座下部のキャスターに より手軽に移動をさせることが可能なので、 作業内容にちょっとした変更があったときにロボットや作業環境を動かす、ロボットを一時的に別の場所で作業 させる、いざというときに作業者が代わりに作業するためにロボッ トをどかす、というような使い方も可能です。

クロスマーク貼付による三次元位置の認識技術 NEXTAGE7台によって構築された新しい組立ライン

クロスマーク貼付による三次元位置の認識技術

NEXTAGEの柔軟性3 : 道具や装置の活用/運用実績と今後の計画

NEXTAGEで人手作業工程を自動化するうえで特徴的なのは、人 が実際にやるような手順、方法をそのまま置き換えて考えることがで きることです。例えばケーブルやゴムバンド、シールなどの柔軟物を 取り扱うような難しい作業も、人が指や爪、道具を使って行うのと同 様のコンセプトでエンドエフェクタ(ハンド)を設計することで自動化 することができました。NEXTAGEは、セル生産の人手工程での LCA(ローコストオートメーション)を実現するために工夫されてきた 「からくり治具」のコンセプトを、そのまま受け継ぐことが可能です。

グローリーでは、1年前より1台のNEXTAGEを試験導入し、試 行錯誤しながら数万個の生産稼動実績を積みました。今回は、その 実績から更に複雑な組立作業にチャレンジをして新製品生産ライ ンの人手工程7工程分について7台のNEXTAGEを用いて自動化 し生産を開始しています。  今後は、NEXTAGEの簡便設置による機動性と1機種でマルチ タスクが可能な柔軟性を活用して、生産ライン不稼動時間の有効 活用としてロボットに別の場所で別の作業をさせる「副業化」を計 画しています。また、人とNEXTAGEが協働で作業する生産ライン も計画しています。   NEXTAGEはこれからの生産現場の革命的なアイテムとして存 在価値を高めて行くものであり、グローリーと川田工業は、 NEXTAGEによるフレキシブルな組立ラインを更に進化させ、競争 力のある日本の未来の生産現場を実現する為の高い技術と志で世 界に先駆けた「次世代工場の生産方式(スマートオートメーションファ シリティシステム)」の確立を目指していきたいと考えています。

クロスマーク貼付による三次元位置の認識技術 NEXTAGE7台によって構築された新しい組立ライン

NEXTAGE7台によって構築された新しい組立ライン

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