fvの背景画像 fvの小さい背景画像
Excellence Award (Service Robot Category)優秀賞(サービスロボット部門)

アザラシ型メンタルコミットロボット「パロ」

[株式会社知能システム 独立行政法人産業技術総合研究所 マイクロジェニックス株式会社]

アザラシ型メンタルコミットロボット「パロ」

概要

一般家庭でのペット代替や医療福祉施設におけるセラピーを目的とするロボット。全身を覆う面触覚センサなど多種多様なセンサ、静穏型アクチュエータによる滑らかな動作、自律行動、名前や行動の学習機能を有している。使用環境や条件に対応した高い安全性、衛生性、利便性、耐久性を有しつつ、1体ずつ手作りの高品質を持つ。これまでに国内で約800体が利用されている。今後、海外に展開する予定。

評価のポイント

アニマルセラピーへの高いニーズ

ペット市場は、日本が1兆円越え、アメリカが約4兆円である。日 本では、約24百万匹が飼育されるが、年間36万匹が捨てられ処 分されている。  ペットを飼えない理由は様々にあるが、ペットの飼育はコストが 高く、例えば犬は平均12年の寿命で、子犬でも約350万円であ る。さらに、アニマル・セラピーは理解されていても、動物の管理や 衛生の問題等で、ほとんど実施されていない。そのため、ペット代 替またはアニマル・セラピー代替としてのロボットのニーズは、国 内外で大きい。これまでに、パロは国内で約700体販売され、他に約100体が レンタル等で利用されている。  現状では、購入者の約80%が個人名義であり、残りは医療福祉 施設であるが、他に集客目的の車ディーラーや、博物館等での需 要がある。  今後、欧米でのパロの需要は非常に高い。スウェーデンは社会 保障の対象として、パロを高齢者や施設が無償で利用できる対象 に認定する予定である。

アニマルセラピーへの高いニーズ

世界へ広がるパロのセラピー効果

パロの個人オーナーは、ペット代替目的で、ビジネスユーザー は、医療福祉施設の需要が高い。  これまでにパロのオーナーに対するアンケートの約100件の回 答結果、ほとんどが動物好きで、約80%がパロに「非常に満足」、 「満足」と回答し、長期に渡って家族の一員のようにかわいがって いる。  医療福祉施設では、パロのセラピー効果と共に、施設の魅力の 向上、看護師等の心労低減を期待できる。公共団体の場合、平均 余命約8年の認知症患者に一人当たり年間約4百万円が介護保険 のコストである。  パロとのふれあいによる脳機能改善と認知症予防効果により、 コスト軽減の可能性 が高い。そのため、既 に複数の公共団体が 高齢者施設にパロを 導入している。  また国連のNGO、 IFA(世界高齢者団 体 連 盟:62カ国 加 盟 、傘 下 会 員 数4500万人)が、認知症予防等、パロのセラピー効果を認め、その 事務局が2体のパロを用いて世界に紹介している。

世界へ広がるパロのセラピー効果

機械を感じさせないデザインと愛着を醸成する自立性

パロは長期間の人との身体的な触れ合いを想定している。「ひ げ触覚センサ」、全身を覆う「ユビキタス面触覚センサ」、「機械」を 感じさせないようギア音をほぼ聞こえなくし、抱きかかえられた際 等の人からの強い力に対処できる「静穏型知的アクチュエータ」等 を新規開発した。  また名前や行動の学習機能など愛着を醸成し飽きさせにくい自 律性を開発した。  安全性、安定性、信頼性、耐久性等に関して、10万回の撫でテスト、落下テスト、2万ボルト耐電圧テスト、電磁シールドテスト等を 実施・クリアし、抗菌加工、難燃加工等を施した。  システム全体として、愛知万博や国際空港等での長時間・長期間 の展示や、3年以上のロボット・セラピーの長期利用例でも問題は ない。既に販売されたパロに関して事故は無く、博物館等で自由に 触れ合える場合に、乱暴な取り扱い等、原因が明確な数回の損傷 が発生した程度であり、個人オーナーの場合には故障はほぼ皆無 である。

機械を感じさせないデザインと愛着を醸成する自立性

人の心を豊かにするロボット研究

人と共生するパーソナル・ロボットの研究開発を93年に始めた。 仕事を目的にする場合、汎用ロボットよりも専用機械の方が、性能、コスト、信頼性等多くの面で優れている。そこで、仕事を目的と しない存在を考えた結果、ペット動物のようなロボットを提案した。  そして、人とペットとの関係を調査した結果、ペットを多くの人々 が飼い、大きな市場になっていたが、アレルギー、人畜感染症、引っ かき・噛み付き事故等の理由で飼えない人や場所が多かった。  そこで、ロボットの新しい役割として「人の心を豊かにするロボッ ト」の研究を始めた。  ペットは、一般家庭で飼われるだけではなく、欧米では医療福祉 施設でのアニマル・セラピーの効果が確認されていたが、管理や 衛生の問題であまり実践されていなかった。  そこで、動物型ロボットによる「ロボット・セラピー」を96年に提 案した。ロボットの形態を複数検討したが、試作や心理実験を通し て、アザラシ型とし「パロ」と名づけた。  試作したパロを医療福祉施設でロボット・セラピーの実験を重 ね、心理的効果、生理的効果、社会的効果を科学的に実証した。医 療福祉施設への導入に当たり倫理委員会に諮った結果、抗菌加 工、防汚加工、抜毛防止、電磁シールド等、衛生性、安全性の対策を 施し、誰でも容易に扱えるように、おしゃぶり型充電器や一箇所の スイッチ等により利便性を高めた。  また、国内外6カ国で約2千名による主観評価実験を実施し、文 化や宗教観の違いに関わらずパロに対する高い受容性を示した。「見た目のかわいさ」、「さわり心地」、「音声認識機能」の重要性 を明らかにした。  さらに、触れ合いにより壊れやすい箇所を調べ、その対策を施し た。1体ずつ手作りにより芸術的品質を高めつつ、内部モジュール 構造、分散ネットワーク制御等によって生産性、メンテナンス性、信 頼性の向上を図った。試作、改良、実証テストを何度も重ね、第8世 代で実用化した。

人の心を豊かにするロボット研究

お問合せ先