連結式医薬品容器交換ロボット
[株式会社ツムラ 富士重工業株式会社]
概要
クリーンルームなどの狭い製造室での小回りが効き、±5mmの高い精度で位置決めが可能な搬送ロボット。医薬品工場内で使われている約200kgの大型容器や製品を箱詰めしたケースを自動連結して搬送する。1回の充電で1日分の搬送量をこなすことができ、生産状況に合わせて自由に経路や組合せを変更して稼動させることができる。既存の生産ラインでも適用しやすいため、各種部門での作業者の負担軽減、安全性の確保に有用である。現在、医薬品の造粒ラインで3台が稼働し、今後同様の医薬品工場への導入予定である。低価格・高品質な薬を安定的に供給しなければならない製薬会社においては、無人化製造による約30%の増産実績は大きい。また、人の製造室内への立入りが60%減となるため、高度GMPへの適合が容易となるメリットも大きい。
評価のポイント
スペースとコスト効率高めたロボット開発
従来技術のAGV(無人搬送台車)やローラーコンベ アなどでは、物を搭載することで搬送設備が大型化 し、狭い部屋での軌道確保が出来ない、ライン毎に AGVへの搭載設備が必要となりコストとスペース に問題がある等、また、コンベア設備では設備が常 設することで、人動線と物動線を分断してしまいス ペース効率が悪い、レイアウト変更が容易でない、清 掃性が悪い等の問題がありました。 そこで、容器交換や物の運搬を人と同じ大きさ、動き で実現するロボットを開発することになりました。 運送方法も搭載式から牽引式に変更し、スペース効 率や作業効率を高めました。 「連結式医薬品容器交換ロボット」は、以下の特徴を 持っています。
(1)ロボットをコンパクト化し、人とほぼ同じ大きさの ロボットで、200kgの重量物を連結して搬送するこ とが出来ます。この連結方式により、連結部のみ同 一とすれば、大きさ、形状の異なる多種多様の搬送 物を連結して搬送することができます。
(2)従来技術のAGV(無人搬送台車)では実現でき なかった、狭い場所での旋回及び高精度位置決め搬 送が出来ます。 ①独自考案のソフトによる最適カム曲線制御により、 旋回半径が小さく高精度のターンを実現(特許出願 中)しました。 ②容器台車の連結部材に曲線形状を用い、連結時 の押し付け力により容器台車がロボット中心にスラ イドするように連結して、容易かつ安価に容器台車 の位置決めを実現(特許出願済)しました。 ③色識別センサと色タグを用いて、低コストな経路 分岐と位置決めを実現(特許出願中)しました。
(3)製造室内で人と共存する為に、各種安全装置の装 備と、使用環境の整備による安全性を確保しました。 ①ロボットの連結部を除く周囲に、テープスイッチ内 蔵のバンパセンサを装備しました。 ②人や障害物と、ロボットの距離を正確に測定でき る測域式のレーザレンジファインダを用いました。ま た、検出範囲をロボットの速度や位置に応じ可変式と しました。これにより、壁が鏡面仕上のステンレスの 狭い製造室内でも対応できるレーザレンジファイン ダの使用法を開発(特許出願中)しました。 ③リスクアセスメントの実施、導入先使用者教育、 「ロボット保険」への加入で、使用環境を整備し、安 全性を確保しました。
高い生産性の向上
株式会社ツムラ造粒ラインに3台の「連結式医薬品 容器交換ロボット」を導入し、既に稼働しています。 導入による効果は以下の通りです。
①ロボット導入により、労働生産性は約20%向上しました。
②昼休みや夜間の無人化製造により、ロボット導入 ラインでは、約30%の増産を可能としました。
③ライン作業者を2ラインで4名から2名に少人化しました。
④人の介在による異物混入を防止し、医薬品の品質 リスクの改善が図られました。
広範囲な応用へ期待
このような連結式ロボットは、連結部のみを同一にす ることにより、多種多様の搬送物を連結して搬送す ることができるため、医薬品の容器交換だけでなく、 各種用途に適用できます。 ①医薬品業界では、バッチ製造が多く、他メーカーの 医薬品工場にも展開可能 ②各種製造工場の部品や製品搬送として展開可能 ③各種ビルの分別ゴミ箱の搬送として展開可能 ④図書館の本の搬送や、店舗の商品搬送など、広範 囲の応用が期待できます。 ※国際ロボット展での反応も非常に良く、特にエンジ ニアリング会社などは今AGVで考えている計画を 見直しますとか、今までの問題を解決してくれて「あ りがとうございます」などの言葉を頂いています。 また、段ボール製造メーカ、フィルム製造メーカや包 装機メーカなどからも、導入に向けて検討したなど の言葉を頂いています。
継続的なロボット導入
株式会社ツムラ静岡工場では、今年度計画として造 粒ラインで200kgの医薬品容器交換ロボットを1台 と、包装ラインで、段ボール詰めされた医薬品の製 品を搬送する作業に、同じロボットを1台導入します。 特に包装ラインでの活用は、複数ラインからの製品 を1台のロボットで、離れた場所にある集中型のパレ タイジング装置まで物と情報を一緒に運ぶシステム であり、新たな生産システムの提案が出来るものと 考えています。 来年度には造粒ラインに1台、包装ラインに1台の計 2台を導入予定です。更に茨城工場にも展開してい く予定です。