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Excellence Award (Service Robot Category)優秀賞(サービスロボット部門)

細胞自動培養ロボットシステム

[川崎重工業株式会社]

細胞自動培養ロボットシステム

概要

新薬開発や再生医療に必要な無菌環境下での細胞培養作業を行うロボット。現在は熟練作業者が無菌環境下にて手作業で行っているが、ロボットによる自動化により、安全確保と開発効率の向上が見込まれる。

評価のポイント

世界初、iPS細胞の自動培養も可能な細胞自動培養システム

大きく広がる細胞培養のニーズ/ロボットを使った自動培養

再生医療は21世紀の夢の医療と言われ、患者さんの細胞を培養し、組織を再生し、疾病を治療することが目標です。既に重度熱傷に対する治療が始まり、他の組織に対する研究が進んでいます。細胞の培養は、医療用のクリーンルームであるCPC(Cell Processing Center)で熟練者により実施されていますが、汚染や間違いが許されない作業です。再生医療の実用化には、培養作業の自動化が必須であると考え、自動培養システムの開発に取り組みました。汚染や間違いの防止は、人には難しくても、ロボットには得意分野であり、システムの中心にロボットを採用しました。 細胞培養は再生医療だけではなく、創薬(新薬開発)でも必要とされます。再生医療の実用化には年月が必要ですが、創薬は、今必要とされる分野であり、一部仕様を見直し、創薬向けで使用できるシステムの開発も実施しました。

最初にロボットを使った自動培養システムで、細胞を汚染することなく、かつ、手培養と同等の品質の細胞を培養するという課題に取り組みました。培養作業は基本的には、液体と容器のハンドリングです。自動化では、容器のハンドリングを汎用ロボットが行い、液体のハンドリングを専用機械に任せました。信州大学は厚生労働省の承認を得て、軟骨・骨の再生医療の臨床研究を実施しています。患者さんの骨髄液を採取し、微量に含まれる間葉系幹細胞を培養し、患者さんに移植します。培養した間葉系幹細胞の量と品質の確保が重要ですが、自動培養システムにより培養した細胞で、臨床に使用する合格基準を充たすことが実証されました。

ロボットを使った自動培養

創薬向け自動細胞培養システム

自動培養システムの事業化の第一歩として、創薬用の細胞の培養を目指しました。多様な細胞の培養が求められるとともに、コストも重視されます。そこで、ロボットが行っていた作業の一部を専用機に置き換え、作業効率を上げ、コストパーフォーマンスを向上させました。試作機による実証試験を進めながら、製薬企業を中心とした顧客要望を調査した上で、創薬研究向け商品機を開発しました。

創薬研究向け商品機

創薬研究向け商品機

再生医療研究向け自動細胞培養システム

再生医療に対応するには実用レベルの汚染防止機能が必要です。実質的には、ロボットが動作する空間をクリーン度100以内に保って培養操作を行えば、汚染は起こりませんが、医療の世界では、より高いレベルで汚染を起こさない保証が求められます。そこで、万一、汚染が起こっても、すべての細菌やウイルスを死滅させられる、自動除染機能を装備しました。医療機器で実績のある過酸化水素ガスを使用しました。過酸化水素は酸化力の強いガスであり、使用する機器の材料選定が重要となります。また、ガスによる除染は表面のみとなるため、複雑な機構の自動除染は困難です。創薬向けのシステムではネジ機構やエアシリンダを使用しましたが、ロボットのみで実現することで、システムの自動除染が可能となりました。

再生医療研究向けの試作機

再生医療研究向けの試作機

世界初、iPS細胞の自動培養に成功/謝辞

創薬研究向けの細胞自動培養システム商品機を使用し、iPS細胞の培養に挑戦しました。熟練者でないと培養が難しいとされますが、熟練者の技を自動培養システムで再現し、世界で初めて自動培養に成功しました。次は世界初の自動培養した細胞を使用した再生医療の臨床適用を目指したいと考えています。

細胞自動培養システムの開発には、独立行政法人科学技術振興機構と独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構のご支援をいただきました。開発作業では、大阪市立大学、東京大学、信州大学、北海道大学、産業技術総合研究所、成育医療研究センター、松本歯科大学の研究者の方々の支援を受けました。ここに謝意を表します。

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