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Excellence Award (Service Robot Category)優秀賞(サービスロボット部門)

球面超音波モータを使用した「管内検査ロボット」

[株式会社キュー・アイ 東京農工大学]

球面超音波モータを使用した「管内検査ロボット」

概要

水道管や工場配管等の管内を検査するロボット。先端部に球面超音波モータを用いることで、カメラ部小型化と視野拡大を同時に達成し、これまで不可能であった小口径・曲がり管の詳細検査を可能としている。

評価のポイント

球面超音波モータの最適な利用方法を示すとともに、配管検査用カメラでの実績を背景に、容易に扱える管内検査カメラロボットとしてまとめ上げた点が評価された。

世界初!球面モータによる管内検査ロボット

開発の背景

株式会社キュー・アイでは「人間の目では見ることの出来ないも のを正確に見る技術」をモットーに、水中・管路・原子力などの特殊 環境下で使用する検査カメラシステムの製造・販売・メンテナンスを 行っている。  製品には詳細な検査を行うためにカメラ部に首振り機構を装備した ものが多い。しかし、従来の装置では、2軸を2つのモータで駆動する機 構が一般的で、小型製品への適応が難しかった。  今回、新技術として1関節で3自由度の駆動が可能な球面超音波モ ータを用いた首振り機構を搭載した管内検査ロボットを東京農工大 学遠山研究室と株式会社キュー・アイが共同で開発し、販売を開始した。

図1. 株式会社キュー・アイ テレビカメラロボット

図1. 株式会社キュー・アイ テレビカメラロボット

球面超音波モータの原理

球面超音波モータの構造は極めてシンプルである。図2に示すようにステータと球ロータだけである。弾性体のステータの裏には 分極されたPZT素子が貼り付けられている。これに超音波領域の 交番電圧をかけて弾性体を共振させる。弾性体表面には進行波が 発生し、この波頭でロータを摩擦駆動する。超音波モータと言うの は振動数が超音波領域であることによるが、実際には摩擦モータ である。3個のリング状のステータにはそれぞれ速度の異なる進行波を 発生させることにする。実は先に述べた交番電圧には2種類が必要 であり、その位相差に応じて進行波の速度が決まるようになってい る。例えば位相90度なら最大速度で回転し、位相0度なら波は定在波となる。3個のステータにそれぞれ希望の回転速度Siを与え ると、球ロータは各Siのベクトル和で示される速度をもつ。これは オープンループ制御でもかなりよく実現できる。ただしステータ表 面に摩擦があるため、実際の速さは低減するが、回転軸は精度よく 実現できる。機構も簡単なら制御も簡単なのである。これが球面モ ータの原理である。

図2. 球面超音波モータの原理

図2. 球面超音波モータの原理

球面超音波モータ搭載 管内検査ロボット

球面超音波モータを応用し開発した本ロボットは、ハードケーブ ル先端のカメラヘッドを管内に押し込み検査するもので、下記の特 徴を持っている。(1)高感度カメラと高照度LEDにより鮮明なカラー映像が得られる。 (2)球面超音波モータによりカメラの首振り制御を行っており、管 内の詳細映像が得られる。 (3)カメラヘッドが小型のため、小径管・曲管への対応が可能。 (4)カメラヘッドは完全防水であり、取り扱い・メンテナンスが容易である。  また、球面超音波モータの製品応用に当たり、下記の最適化設 計がはかられている。 ○ 球面モータ用のドライバ基板の超小型化 ○ 現場での耐久性向上及び各部剛性の向上 ○ LEDのパワーアップ、最適配置 ○ プログラムによる自動制御

図5. 新旧カメラヘッド

図5. 新旧カメラヘッド

まとめ/今後の計画/新技術へのチャレンジ

大学の所有するオンリーワンの技術に、メーカの物づくりノウハ ウをプラスし、新機構を採用したロボットを製作した。  球面超音波モータの技術がなければこれほど細く・短く製作する ことは困難であり、本技術によってこれまで不可能とされていた小 口径・曲がり管の詳細検査が可能となった。これにより、異常箇所の 確実な発見・詳細な状態確認ができ、高品質なインフラ検査が実現 できる。球面超音波モータによる新しいカメラ駆動機構は、従来の 設計概念を変える大きなブレークスルーとなった。

メーカとして販売・メンテナンス体制を持つことでユーザに安心し て使用していただける環境を整え、ユーザからの要望を迅速に取り 入れ製品改良へとつなげていく。同時にデモや展示会に積極的に参 加し本技術の市場における認知・普及を図っていく。また、医療分野 (内視鏡・カテーテル)やロボット分野(目の機構・関節)、特殊環境(真 空・耐放射線)で使用可能な製品の開発に意欲的に取り組み続ける。

・球面超音波モータを応用した硬性内視鏡 - 先端にφ5の球ロータ(撮像素子、レンズ、LEDを内蔵) - マニュアルと自動で球ロータを駆動 - 内視鏡が運動しても画像をロック、高空間安定性 - オートクレーブ対応

図6. 球面超音波モータ搭載内視鏡と使用イメージ

図6. 球面超音波モータ搭載内視鏡と使用イメージ

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