全自動連続薄切装置 ティシュー・テック スマートセクション
[サクラファインテックジャパン株式会社/平田機工株式会社]
概要
評価のポイント
がん患者の増加に対応した「全自動連続薄切装置」
スマートセクションは何をするロボット?/なぜスマートセクションの助けが必要か
世界中でがん患者が増加しています。日本人の2人に1人が、が んに罹患しています。(国立がんセンターがん対策情報センターに よる推計値(平成15年)より)内視鏡等で組織を採取して病理検査 を受けた方もいらっしゃるのではないでしょうか。 スマートセクションは、がんの疑いのある患者から採取した検体 を数ミクロンの厚さに薄切してスライドガラスに貼付するロボット です。検体のままでは、自己融解や腐食が進み、また柔らかくて薄 切しにくいため、固定後、検体中の水はパラフィンに置換されます。 こうして作られた検体を包埋ブロックと呼びます。この包埋ブロック をスマートセクションにセットすれば、無人で未染スライドをどんど ん作製して行きます。
まず一番の理由は、技師一人あたりの標本処理数が増加してい ることです。患者の数が増えれば検査の数も増えて、作製しなけれ ばならない病理標本の数が増えます。しかし、病理標本を作製でき る技師の数は、標本数と比例して増加していないため、技師への負 担はどんどん大きくなっています。 二番目の理由は、新しいがん治療薬の登場です。みなさんのな かで、分子標的薬という言葉を聞いた方もいらっしゃると思います。 この薬は、人ごとに異なる薬効や副作用の程度が事前の検査でわかります。この検査は、患者の細胞膜の染色の強さで評価されます。したがって、切片が均一な厚みでなければ正しい評価が困難になり ます。スマートセクションは、切片内・切片間において厚みバラツキ の小さな切片を作製できるためこの種の検査に適しています。
スマートセクションが貢献できること/『正確に』を実現した手段
1. 検体の取り違えを防止しエビデンスを残す
検体の取り違えは、時々新聞やテレビに取り上げられるように、 患者へ取り返しのつかない被害を与えます。スマートセクションは、 そのようなことが起きないような作業方法と取り違えが起きなかっ たエビデンスを残します。 スマートセクションは、カセットのIDを読んで、それに紐づいたプロ トコル(スライドガラス印字情報、切片枚数、切片厚等)を検索し、ス ライドガラスに印字情報を印字します。切片がそのスライドガラスに 乗ったことを確認して、初めて次の薄切を行います。こうすることにより、検体の取り違いを防止しています。そして、この時のカセットID と包埋ブロックの画像、切片の画像をログに記録してエビデンスを 残します。
2. クロスコンタミネーションを防ぐ
標本に他の検体の破片等が載ると、診断の邪魔をするばかりで なく、誤診の原因にもなりかねません。薄切・貼付工程でこのクロス コンタミネーションが起 きる場所は、粗削り工程と 水槽内での貼付工程です。 スマートセクションは、 粗削り(面出し)の際に発 生する薄切屑を常に吸引 除去するため薄切屑が他 の切片に載る心配はあり ません。(図2) 一方、水槽に破れた切 片が入って来ても、オー バーフローしている水と 一緒に破れた切片は水槽 の外に流されるので、そ の切片が他の切片に載る 心配はありません。(図3)
3. 厚みバラツキの小さな切片を作製する
スマートセクションの薄切室の温度は10±0.5℃で管理されて います。こうして包埋ブロ ックの熱膨張量と硬さを 制御することにより、設定 した厚みでバラツキの小 さな切片が作製できます。 図4に設定した厚みとそ の時に作製できた切片の 厚みを測定した結果を示 します。また、この時の設 定厚さに対するバラツキは、±10%以下で、染色しても肉眼では厚みバラツキを確認するこ とは困難です。
『確実に』を実現した手段
1. 切片の品質をロボットが評価
検体そのものや包埋ブロックまでの作製工程が原因で、破れや抜 けができて必ずしも標本に適した切片を作製できない場合がありま す。スマートセクションは、自分で作製した切片に破れや抜けの有無 を判断するため、無駄な切片をスライドガラスに貼付せず、染色する 価値のある標本だけを染色カゴに収納して乾燥します。(図5)
2. 薄切できなかった包埋ブロックは専用トレイに収納
薄切できなかった包埋ブロックも、何らかの処理を行った後、薄 切を行い必ず標本を作製しなければなりません。従って、スマート セクションは、成功した包埋ブロックと区別するため、薄切できなか った包埋ブロックを専用トレイに収納します。(図6)
今後の展開
今年の8月にオースティンで開催されたNational Society for Histotechnology 2014で個別ブースを設け展示したと ころ大変な反響を受け、早急な海外展開が必要なことを確信しま した。未だ海外に競合メーカはないため、今のうちに、性能、ノウハ ウ、シェアともにどんどん差をつけておきたいと思います。