ホタテ貝柱自動生剥きロボット「オートシェラー」を中核とする水産加工システム
[株式会社ニッコー]
概要
ホタテ貝の選別、投入、加工処理の3つの工程により構成され、1時間あたり5,760枚分の加工処理能力を有するロボットシステム。貝に付着した異物を高速ブラッシングで除去するとともに、貝表面を水蒸気で瞬間的に加熱処理して上貝を吸着パッドで開口した後、内臓全体を吸引ノズルで瞬時に吸引排出し、下貝に残った貝柱を独自開発したカッターで自動切断することで、生の貝柱だけを回収することが可能。
評価のポイント
湧別漁業協同組合とともに現場の作業手順等を踏まえつつ開発を進めたことにより、個体差のあるホタテの加工自動化を実現することができ、ロボット技術適用の成功例といえる点を評価。また、日本の主要水産輸出品であるホタテ貝柱の安定供給と海外輸出の拡大にも寄与するとともに、北海道沿岸地域の基幹産業である水産加工業の持続的発展のモデルを示したことの功績は大きい。
ホタテ生剥き作業の自動化が人手不足と 地域産業の発展を支える
ホタテ加工地域の人手不足問題解決のために
人口減少の進展により水産加工を基幹産業とする地方都市で は、深刻な労働者不足に直面しています。日本が世界一の生産・輸 出量を誇る「天然ホタテ」は、貝柱を取り出す作業には多数の熟練 作業員を必要とすることに加え、その作業内容も長時間窮屈な姿 勢を保たねばならない過酷なものであることから、年々担い手の確 保が難しくなっており、加工生産機能を維持できなくなる地域が増 加の一路にあります。これらの問題を解決するため、当社ではホタ テの生剥きに係るすべての作業工程を自動化した、世界初※のホタ テ貝自動生剥きロボット「オートシェラー」を中核とする加工システ ムを開発し、加工に要する作業者を12名から1名へと大幅な省人化を図ることに成功しました。(※2018年6月時点・ニッコー調べ
世界初、ホタテ生剥き作業を自動化
本システムはホタテ貝の解剖学知見と熟練作業員の作業手順等 の情報を参考として概念設計したもので、大きくは①ホタテ貝の選別、②投入、③加工処理の3つの工程により構成されるロボットシス テムで、1時間あたり5760枚の加工処理能力を有します。ホタテ 貝の選別工程では、割れ貝等の不適合貝を2ヵ所に設置した三次元 レーザー変位計により計測処理し、不適合貝を排出するとともに上 貝を上向きにします。 次の工程では貝8枚を1列に整列させ、画像計測で貝の中心把持 と適合貝の再判定を行います。そして2台のパラレルリンクロボット が、4秒間に8枚の原貝をオートシェラーに貝の向きを揃えて供給し ます。このロボットによる移載供給は、原貝を把持してオートシェ ラーのパレット固定座に高精度で移載する自動供給であり、当社の ロボット制御技術を応用した独自の方法です。 最終の加工工程では、貝に付着した異物を高速ブラッシングで除去し、貝表面を水蒸気で瞬間的に加熱処理することで貝柱上部を 貝から剥離した状態から、吸着パッドにより上貝を強制的に開口します。外套膜を殻から剥離した後、内臓全体(ミミ・ウロ)をエアシリ ンダ吸引ノズルで瞬時に吸引排出します。最後に下貝に残った貝柱 を独自開発したカッターで自動切断し生の貝柱だけを回収します。 本システムの導入により①大幅な省人化の実現②歩留りアップ ~手剥き作業では貝柱の上下をカットするために貝殻に貝柱が残り ますが、本システムでは貝柱上部はカットしないため貝柱は残りま せん。③手剥きと同等な品質~本システムで加工した貝柱の性状 評価は、外表面の明るさや色合い等の色調、吸水率及び見た目、食 味等を評価項目として手剥き貝柱との比較において有意な差異が なかったことは、品質保証の観点からも高く評価できます。
地域産業の存続と発展に向けて
ホタテ生産に取り組む全国の漁業協同組合・水産加工会社にお いても、人手不足の問題解決と地域産業の存続のため、本システム の導入に取り組む動きが拡大しており、ホタテ貝柱の安定供給・海 外輸出の拡充に向けた生産体制の構築が実現しつつあります。 本システムは水産加工を基幹産業とする地方都市の経済を支えることに貢献しています。
本システムの加工処理工程