ウェルウォーク WW-1000
[トヨタ自動車株式会社/藤田医科大学(学校法人藤田学園)]
概要
脳卒中などによる下肢麻痺者を対象とする、リハビリテーション支援ロボット。運動学習理論に基づいた様々な機能を一つのロボットシステムにインテグレーションした。患者の能力に合わせた練習難易度の調整機能や、患者自身に状態をフィードバックする機能等を豊富に備えているほか、簡単な着脱、操作パネルによる一括操作など、ユーザー視点で作り込まれた機能、構造によって臨床現場での使い易さを実現している。
評価のポイント
既に存在する技術をもとに、豊富な現場ニーズを最大限取り込むことを念頭に置いて開発が行われており、リハビリ現場に導入されることを第一に考えた社会実装の面を高く評価。また、機器の導入だけでなく導入時に併せて必要な研修やベストプラクティスの共有が行われており、結果として当初の目標を大幅に上回るスピードで導入が進むなど、事業性の面でも今後が期待される。
精緻で高効率な練習を実現するリハビリ支援ロボットシステム
ウェルウォーク WW-1000の概要
トヨタ自動車株式会社は、「すべての人に移動の自由を」という パートナーロボットビジョンのもと、高齢者の安全快適な自立生活を 守り、介護者の負担も軽減できるよう、「シニアライフの支援」、「医療 の支援」、「自立生活の支援」、「介護の支援」を主な4領域としてロ ボット開発に取り組んでいます。その中で「医療の支援」において、藤 田医科大学と共同で2007年から脳卒中などによる下肢麻痺のリハ ビリテーション支援ロボットの開発を進めてきました。2014~17年 の臨床的研究モデルでは、全国23施設400名以上で実証実験を行 い、効果を確認してきました。2016年には「ウェルウォーク WW-1000」(以下、ウェルウォーク)の名称で医療機器承認を取得 し、2017年9月から医療機関向けにレンタルを開始しました。
運動学習理論に基づく機能と臨床現場での実用性
ウェルウォークは、トヨタ自動車の「現地現物主義」と藤田医科大 学の「臨床第一主義」という両者の強みを組み合わせて実現したロ ボットで、二つの特徴があります。 一つ目は、運動学習理論に基づいてデザインされた様々な機能で す。運動学習とは、「できない」が「できる」ようになる過程で、リハビリ テーションの本質です。そこでウェルウォークは、運動学習の主要因 子である転移性、動機づけ、フィードバック、難易度、練習量を十分考 慮して諸機能を統合し一つのシステムとして具現化しました。患者様 の能力に合わせた難易度の調整機能(膝伸展アシスト、振り出しアシ ストなど)や、患者様自身に今の状態をフィードバックする機能(全身 映像、膝折れ音、荷重成功音など)等を備えています。 二つ目は、臨床現場での使い易さを実現する機能です。車イスの ままでスムーズな乗り込みができる高さ約6cmの低床トレッドミ ル、3分程度で装着可能なロボット脚構造、タッチパネルによる一括 操作、患者様の状態に応じてパラメータ調整する際に便利な練習ガイドを備えています。
今後の展望
2017年9月のレンタル以降、3年で100台の目標に対して、 2018年9月時点で60台を超える多くの施設に導入していただい ております。今後、ウェルウォークの普及によって、歩けるようになる 人が増え、社会参加の促進に繋がるものと考えております。