マイクロマウス
【公益財団法人ニューテクノロジー振興財団】
概要
参加者が自作した自立型ロボットを用いて迷路を自律的に探索し、最短時間でゴールに到達する競技。この競技は1977年にIEEE(米国電気電子学会)が提唱し、日本では1980年から「全日本マイクロマウス大会」として毎年開催され、現在は事実上の世界大会となっている。競技には自律操縦の速さを競うロボトレース競技もあり、学生から高度な技術を持つロボットまで多様な参加者が集う。競技を通じて参加者はAIやロボット工学の実践的な技術を磨き、国際的な技術交流や情報交換の場としても機能している。また、技術教育の場として若い世代の育成に貢献する。
評価のポイント
長期に渡る継続開催のための優れたコンセプトを有し、それが多くの参加者を集めること、参加者が競技を通して総合的なエンジニアリングスキルを身につけることにつながっている。大会としても十分な実績を有し、コミュニティ形成等の観点からも評価できる。学生でマイクロマウスに興味を持った方々が、社会でエンジニアとなり活躍されている例は数多く、人材育成という観点で評価する。
日本で最も歴史あるロボット競技会「マイクロマウス大会」
マイクロマウスとは
マイクロマウス競技は、競技者が自ら作成した自立型ロボットを 用いて、5分間5回という限られた時間で自律的に迷路を探索し、 ゴールに到達する最短時間を競う競技です。この競技は1977年 にIEEE(米国電気電子学会)が提唱し、日本では1980年から「全 日本マイクロマウス大会」として毎年開催され、45年にわたり国内 初の「ロボコン」として定着しています。 マイクロマウスは、全日本大会の他に、全国各地の支部が独自に 地区大会を開催し、さらに学生が競う「全日本学生マイクロマウス 大会」も行われており、幅広い層の競技者が参加しています。この 競技は元々、AIとマイクロプロセッサ技術の可能性を探るための技 術チャレンジから始まりましたが、現在では学校などでの技術教育 の手段としても普及しています。 従来の競技はルールを変えずに現存し、その他の競技として、迷 路ではなく板に引かれたラインをより早く走破するロボトレース競 技や、AIとマイコンの進歩に合わせて2006年頃からは従来コー スの2分の1サイズのハーフサイズ競技(現マイクロマウス競技)を 新たに立ち上げました。マイクロマウスの進化は、マイコンと人工 知能の発展によりますます加速しており、毎年新たな技術やアルゴ リズムが導入されています。 マイクロマウスは日本では45年にわたる歴史があり、延べ1万 人以上のエンジニアを育成、輩出してきました。マイクロマウス競技 は、技術革新とエンジニアリングの挑戦を促進し、未来のロボット技 術の発展に貢献しています。出身者には日本を代表するようなシス テムを開発したりベンチャー企業の社長も多くいます。 さらに近年になって欧米、シンガポール、東アジア、チリ、ポルトガ ルなど、新たにマイクロマウス大会を開催する国や、これから開催を目指す国も増えています。現在、年に一度開催されている全日本 マイクロマウス大会は日本だけでなく、世界的に見ても参加人数、 質ともに最大規模を誇り、事実上の世界大会となっています。
生涯教育としてのマイクロマウス
マイクロマウスはロボットの開発規模から、個人でも参加が可能 です。マイクロマウスを作成することで、ロボットの組み立てを通じ てセンサーやモーター、マイコンといったハードウェアの基礎、必要 な機能をいかにコンパクトにまとめるかといったエレクトロニクス技 術、迷路を探索し最適な経路を計算するためのプログラミングを通 じて、アルゴリズム設計やデバッグなどの基本的なAIやソフトウェア 技術が学習可能です。さらには、大会に出場するためのスケジュー リングやプロジェクトマネジメントも学ぶことができ、大学卒業後も 生涯学習としてマイクロマウスを続ける競技者も多数います。もち ろん、社会人になってから始める参加者も多くいます。 また、マイクロマウスでは、選手たちの有志による活動も盛んで す。大学によっては自主開催でミニ大会を開いたり、選手同士の交 流の場として勉強会や合宿を開催し、初心者向けのフォローや上 級者、スポンサーからの技術提供が毎年行われます。このような活 動を通じて、マイクロマウスの開発はチームや個人で行うことが 多いものの、選手たちは頻繁にコミュニケーションをとり、お互い をリスペクトし合い、技術を磨いています。他にも、運営側にもボ ランティアで参加してくださる元競技者、協力者もおり、組織運営 等にも積極的にかかわることで、運営者としての育成の場も提供 しています。