体をひねって姿勢の自由を提供するロボット車椅子「Hineru」(ハイネル)
[株式会社コボリン]
概要
重度身体障害者のために開発された自分で姿勢を変えられない人々のための車椅子。リクライニングやティルト、足台エレベーション機能に加え、体幹のひねりや引き上げ動作を可能にし、「車いすを身体に合わせた」姿勢を実現する。姿勢の記録と再現が簡単に行え、寝たきりの不快を解消する効果が期待される。また、高齢者や半身不随の方にも有効であり、筋力維持や血液循環促進などの身体的効果や、孤独感の低下などの心理的効果が期待されている。
評価のポイント
ロボット技術を活用することにより、身体のズレを発生させない機構を設けたうえで、側屈、回旋、伸展の姿勢変換を人手に頼らず、自ら操作することができる点に先進性がある。利用者が必要とするタイミングで安楽姿勢に変換し、その状態を保持することができ、身体拘縮の予防をはじめ、呼吸や嚥下のしやすい姿勢をとることも可能となる。これまで介助者に依存していた姿勢変換を利用者は気兼ねなく、さらには就労や就学の場面など、長時間の車いす利用の苦痛も大幅に軽減する。
自分で。自分の好きな姿勢に
背景
少子高齢化が進む日本では、医療費と介護費の増大、介護の担い 手不足が深刻な社会課題となっています。日本は寝たきり大国であ り、約300万人が寝たきりの状態です。健康寿命と平均寿命の差は 10年あり、この期間中に医療費と介護負担が増大します。寝たきり になると「不動」の状態が続き、これが多くの問題を引き起こします。 ここで役立つのが「ハイネル」です。ハイネルは利用者のストレス を減らし、医療費を削減し、介護の人手不足の解消に貢献します。ハ イネルは、利用者が好きな姿勢を自分のタイミングで取ることがで きるため、排便、誤嚥、褥瘡、呼吸、仏痛などの問題が改善すると利 用者から報告されています。利用者からは「体が固まる恐怖から解 放されます」「30分に1回姿勢変換で呼ばれていたのが1日に1回 になり、親子関係が良くなった」と感想を頂きました。
ハイネルの特徴
ハイネルは、自分で姿勢を変えられない人が、車椅子上で自由 な姿勢を取れるように設計されたロボット車椅子です。手動車椅 子として移動しながら、簡単なスイッチ操作で姿勢を変えることが できます。 車椅子上では、安楽姿勢、食事姿勢、作業がしやすい姿勢など、 一日の中で様々な姿勢を取る必要があります。また、病気や障害 によって体の変形を防ぐ姿勢、呼吸がしやすい姿勢、嚥下がしやす い姿勢などを取ることが必要です。一人ひとりの状況によって、 「良い姿勢」は変化します。 一般に販売される車椅子の多くはリクライニング機能、ティルト 機能、エレベーション機能といった基本的な姿勢変換オプションを 備えていますが、これらは車椅子のフレームに対して左右対称の 動きに限られます。しかし人の身体は左右非対称であり、伸ばした い部位も人それぞれ異なります。人は通常、15分に一度姿勢を変えています。ハイネルはこれらの機能に加え、体幹を2軸でひね ることができます。前額面上で、臍を基点に左右に体を傾ける側 屈機能と、水平面上で、背中を基点に左右に体幹をひねる回旋機 能、そして背もたれを上下に10cm動かし、体幹の伸展を行うこ とができます。 3パターンの自由な姿勢を記録し、スイッチひとつで簡単に再 現できます。ハイネルの名前は、身体を「ひねる」という特徴からき ています。「Hineru」と書いて「ハイネル」と読み、体をひねって、伸 ばして、気持ちよくなって「はい!寝る」と覚えてください。
今後の展開
「姿勢を自由に変える」という概念を広め、もっと自由に、自分ら しい生活を送れる社会を目指しています。ハイネルは「不動」から 解放し、姿勢の自由を提供する車椅子です。体を動かすことは本 人にも介護者にも医療費削減にも大きなメリットをもたらします。
ハイネルの主な姿勢変換