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Commemorative Special Award記念特別賞

アザラシ型メンタルコミットロボット「パロ」(第1回ロボット大賞優秀賞受賞)

【株式会社知能システム/国立研究開発法人産業技術総合研究所/ マイクロジェニックス株式会社】

アザラシ型メンタルコミットロボット「パロ」(第1回ロボット大賞優秀賞受賞)

概要

第1回(2006年)ロボット大賞のサービスロボット部門で優秀賞を受賞。一般家庭でのペット代替や医療福祉施設におけるセラピーを目的とするロボット。全身を覆う面触覚センサなど多種多様なセンサ、静穏型アクチュエータによる滑らかな動作、人工知能による自律行動、名前や行動の学習機能を有している。

評価のポイント

少子高齢化の影響により人手不足が深刻化するなか、認知症高齢者の増加は世界共通の課題でもある。2002年、世界で初めてロボット技術を活用してセラピー効果が認められたパロは、日本が誇れる介護ロボットであり、かつ国際的にも評価されている。また、製造はすべて日本国内で手作りされ、20年にわたり多くの国々で利用されていることも評価された。

日本では「ペット」と「福祉用具」、海外では「医療機器」として社会貢献

パロの実用化と臨床研究による効果のエビデンスの蓄積

1993年から「ペット代替」と、アニマル・セラピーを代替する「ロ ボット・セラピー」を目的に、産業技術総合研究所がパロの研究開発 を開始し、マイクロジェニックスが協力して実用化しました。  05年に知的財産権のライセンスを受けた知能システムが国内 で第8世代のパロ(MCR800)を市販化し、06年に第1回ロボット 大賞サービスロボット部門優秀賞を共同受賞しました。  08年に改良モデルMCR888を開発し、海外の各種規制に準拠 させて輸出を行い、医療福祉分野のユーザーや研究機関・大学等 と臨床評価を進め、良好な結果を得て、まず09年にデンマークの 地方自治体による公的導入が始まりました。  同年、アメリカで、パロが「バイオフィードバック医療機器(クラス 2)」の承認を受け、販売が可能になりました。またパロが日本製に も関わらず「公共調達品の認証」を得て、連邦・州政府の予算を使っ て、退役軍人省病院等が導入できるようになりました。  13年に更に改良したMCR900を国内で、14年から海外販売を 開始しました。長期的に10件以上の「ランダム化比較試験」を含む 様々な臨床試験や治験、それらの「メタアナリシス」の結果により、 パロのセラピー効果のエビデンスを蓄積しています。

世界各地の医療福祉制度へのパロの組込

日本ではパロを「福祉用具」としていますが、制度が異なる海外で は、「医療機器」化と社会制度への組込を進めています。  アメリカでは、15年にホワイト・ハウスでの招待講演でパロにつ いて説明後、17年末から、認知症、ガン、脳損傷、PTSD、パーキン ソン病等の患者の不安、抑うつ、痛み、不眠、興奮(暴力、暴言、徘徊 等の問題行動)等の診断に対する「パロを用いるバイオフィードバッ ク治療」の処方箋に基づく処置費用を公的医療保険や民間医療保 険で保険償還できるようになりました。また、パロの感染症対策の 安全性が認められて、小児病棟・集中治療室等での利用も始まりま した。また、コロナ禍でも安全に運用でき、継続や新規でパロが利用されています。19年からアメリカ保健福祉省のファンドにより高齢者施設への パロの導入費用が全額助成されるようになりました。コロナ禍で 20年にストップしましたが、21年から再開し、複数施設へ複数体の グループ導入も全額助成されるようになりました。  欧州では、北欧各国の地方自治体による公的導入が進み、また 18年にイギリスの臨床医療の「NICEガイドライン」の「認知症」で、 唯一、質の高いエビデンスがある「非薬物療法」とパロが掲載され、 国営病院等で導入・活用が進んでいます。  フランスは、18年にドネペジル等の「抗認知症薬」の効果が低く 副作用が問題として保険適用から除外し、その代わり、パリ首都圏 等の地方政府が、認知症対策の非薬物療法として、高齢者施設等へ のパロ導入費用を全額助成し始めました。  その他、高齢者向けの各種病院、施設等の導入時に、香港政府は 全額助成、シンガポール政府は85%助成する等、世界各国・地域の 医療福祉制度にパロが組込まれつつあります。  21年から欧州に、ISO13485等の国際認証に準拠した医療機 器版のMCR911-MDを輸出しています。22年2月のロシア侵攻 後のウクライナからの避難者への「心の支援」で、ポーランドの医療 機関の精神科に通院する患者等のPTSD、不安、ストレス等の改 善・緩和に医療機器版のパロが喜ばれています。

ワルシャワ・神経精神医学センターに通院するウクライナ避難者

ワルシャワ・神経精神医学センターに通院するウクライナ避難者

お問合せ先

国立研究開発法人産業技術総合研究所

住所: 茨城県つくば市梅園1-1-1
担当: 人間情報インタラクション研究部門 柴田 崇徳
Tel: 029-862-6586
E-mail: shibata-takanori@aist.go.jp